パワーサプライを作る。第一回「シミュレーションをしよう」
cuLoです。というわけで(?)パワーサプライを作って行きます。
パワーサプライって何?
パワーサプライは日本語にすると「電源」という意味になりますが、今回はエフェクター専用のパワーサプライを制作していきます。さて、パワーサプライって結局どのような意味、効果を持っているのでしょうか?。本シリーズはこういった事にも言及しつつ記事制作を行っていきます。一応出来るだけ「わかりやすく」を心がけてね。
前置きとしてAC(交流)とDC(直流)の違いを理解している必要がありますので、中学校(小学校だったかも)のおさらい。ご理解されてる場合は飛ばしても結構です。AC(交流)電源は家庭のコンセントまで来ている電源等で、家庭用の電圧はAC100Vとされており、電圧は一秒間の間位に0V→41V→-141V→0Vという流れを50回(東日本は60回)しています。ところが世の中の電子機器の大半は直流電源でしか動作しません。身近に交流で動作できるのはせいぜいACモーターとか蛍光灯とかくらいです。(ちなみにAC100VはDC100Vと同等の仕事量をこなし、例えばACでもDCでも使える電球を用意してAC100Vを通した時の明るさとDC100Vを通した時の明るさは体感的に一緒。)なのでAC電源をDC電源に変換する必要があります。そんなこと可能なの?。可能なのです。
緑が家庭用電源の100V、その後トランスで半分にした電源電圧は青側と橙側がありブリッジダイオードという回路(矢印みたいなのが四つ上向き)で直流に、コンデンサで平滑されて赤色になっています。光っている矢印はLEDで一方通行にしか電流が流れません。LED点滅の謎は青色と橙色の波形を追ってみると良いでしょう。
前回パワーサプライを使うとどうなるのかを書きました。
- 安定した直流電源をエフェクターへ供給する。
- 綺麗な直流電源でノイズ低減。
- AC100Vのコンセントを占領せずに済む。
今回はこの三つについて解説してみます。
安定した直流電源をエフェクターへ供給する。
まずはコレ。「安定した」という所がミソです。昔からあるアダプタってなんか重いものが多いですよね。
これは中に「トランス」という変圧器が入っていてAC100Vを整流・平滑してDCにしている物なのですが、構造上、東日本では50Hz、西日本では60Hzのハムノイズが多く電源電圧が微小ながら変動しています。(もちろん対策してとても小さくしている製品もあります。写真のDCアダプタは良いと言われているものらしいです。)
綺麗な直流電源でノイズ低減。
こう書くと、「やれやれ、これだからオーディオオタクは…。電気に綺麗も汚いもあるわけないじゃないか」と、仰るかもしれませんが、電源の綺麗汚いはありまぁす。
と言ってもノイズの話なんですが。例えば先ほど書いたハムノイズ。大体スピーカーから聞こえてくる「ブーン」とか「んー」みたいな音ですね。これは先ほどの説明通りまさに電源からくるノイズです。このハムノイズ等を含む色々なノイズが電源に多く乗っていると汚い電源。一直線だと綺麗な電源と表現されるのです。
上図ではトランスから平滑下だけの緑色の線と、トランスからの平滑した電圧をさらにキャンセルさせるような動作をさせる回路を通した赤い線の電圧波形のシミュレーションです。コンデンサの容量にも寄りますがあからさまに違いますね。さてどっちが綺麗な電源と言われるものでしょうか?。コメントで答えてみましょう!(露骨なコメ稼ぎ)
エフェクターがアナログ回路で構成されている場合は
AC100Vのコンセントを占領せずに済む。
これはそのままの意味ですね。パワーサプライと家庭用コンセントをつなぎそこから各モジュール(エフェクター)へ分配するので結果としてコンセントを占領せずに済みます。便利!
パワーサプライの回路をシミュレーションしてみました。
高めに出力されるDC15Vを使用し9.6Vで安定する回路をつなげています。ACDCアダプターの出口波形が緑色の線、三端子レギュレータの出口が赤色の線でギザギザが取れていることが分かりますね!。
といった感じでしょうか。
ちなみにシミュレータは有名な無料のリニアテクノロジー社のLTspiceを使いました。
www.analog.comあー、今はアナデバに吸収合併されてますね。半導体メーカーはこういったシミュレータを無料で提供する代わりにデバイス使ってねって事で電子回路のシミュレータはほとんど無料なのです。
本シリーズは若干不定期気味になるかと思います。
では、今週はこの辺で。