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第四回アッテネータを作ろう!。~ATTを設計~

ソメイヨシノ、さようなら。

 

ソメイヨシノ問題って知ってますか?。ソメイヨシノと言えば日本人の心的なイメージがありますが、実はソメイヨシノが全国的に植えられたのは戦後期。樹齢60年程度が寿命らしく、全国的に植え替えが必要と言われています。さらにソメイヨシノは花弁が散りやすく、自転車等のスリップも問題になっているため、全国的に別の品種に植え替えする方針だとか?。

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慣れ親しんだ桜が伐採されていくことよりも、「桜=ソメイヨシノ」が実は戦後スタートだったことが個人的に衝撃でした。

 

前回の記事はこちら

culo.hatenablog.com

 

 

 

第四回アッテネータを作ろう!。~ATTを設計~

 不意に「ATT」と書きましたがアッテネータの事です。今回は実際にアッテネータを設計していきます。まずアッテネータの機能を確認しましょう

  • アンプにとっては存在しないように見える。
  • スピーカーにとっても存在しないように見える。
  • 「電力」を減衰させる。

という風に、アッテネータには主に三つの機能があります。

アンプにとっては存在しないように見える。

 アンプは通常どのようなスピーカーが接続されるかという事が決まっており、負荷z(負荷インピーダンス)を変更するとアンプが壊れたりする可能性がありますが、アッテネータの特性はアンプから見るといないように見えるという負荷zが変わらない能力があります。透明になる系の能力者です。

スピーカーにとっても存在しないように見える。

 同様にスピーカーにとってもアッテネータは存在しないように見えます。ちょっと違うのはスピーカーからは減衰された後の出力を持つアンプがいるように見えます。幻影です。相手のステータスダウン系の能力者ですね。

「電力」を減衰させる。

  ま、これだけ覚えておけば良い気がしますが、電力を減衰させます。いろいろやってるけどアンプ君とスピーカー君からは見えないボッチ系の能力者です。シクシク・・・。

 まとめると透明で誰からも見えないけど、何故かみんなの力を奪っていく能力者ですね。RPGの中盤に出そうな嫌なやつだな!アッテネータは!

 

さて、今回は実際に設計していくと宣言しておりますので設計しましょう。

今回の「生贄」はcuLoの持ってるギターアンプ

MarshallVALVE STATE VS30Rです。

 

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在りし日のMarshallのVALVE STATE VS30R君

 

まずは必要なパラメータを集めます。必要なパラメータは下記の通り。

  • 定格出力[W]
  • スピーカーz(インピーダンス)[Ω]
  • 何ワットにしたいか自分の心に問いかける[W]

大体どっかに書いてありますんで定格出力とスピーカーzは簡単です。

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 アンプの裏にパワーなんちゃら「33W」、スピーカーの裏に「4Ω」が見えます。さて問題なのが、「何ワットにしたいか自分の心に問いかける」です。まず疑問なのが「1Wの音ってどのくらいの音量なの?」ですが。調べました。

 

スピーカーは「変換効率」という数値があり、1Wあたり概ね85dB~95dB程度の差があるようです。なぁんだたったの10dBしか差が無いのか。ははは・・・・・・。

 

10dBの差 = 10倍の差があるという事。

つまり85dBスピーカーの10W出力音圧と、95dBスピーカーの1Wの音圧は同じ音量だって事です。

大問題じゃん。

スピーカーを眺めてみたけど特にdB-SPLの文字もないし…。

 

結論、自分で作るときは頑張ってね。(丸投げ)

 

気を取り直して、とりあえず30W出力を1Wにする計算をします。

で、使うのが下の計算式。

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とりあえずサクサクっと計算しちゃいましょう!。

ここから下は、ほぼ計算です。飛ばしてもいいけどスターと読者登録はよろしくお願いしますよ!

 

 

 

 

減衰量は10Log(1/30)=-14.77[dB]で、インピーダンスはさっき調べたスピーカーの裏から「4Ω」

代入していくと

R1 = 4 x ((10^ -14.77 / 20) +1 ) / (( 10^-14.77 / 20 ) -1)

R1 = -5.79 で絶対値に直して

R1 = 5.79Ω

 

R2 = 4 / 2 x (((10 ^ -14.77 / 20) ^2 )-1) / 10^-14.77 / 20

R2 = -10.59で絶対値にして

R2 = 10.59Ω

 

こいつを回路図に展開して、予定通りアンプから見えない状態「4Ω」になるか確認しましょう。

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まず、スピーカー4ΩとR1bの合成抵抗を求めます。

SPK4ΩとR1=5.79Ωの並列合成抵抗は…2.36Ω

これにR2=10.59Ωの直列合成抵抗値で…12.95Ω

さらにこれをR1aと合わせた並列合成抵抗値を求めて…4.001Ω

アッテネータを噛ませた場合アンプからはほぼ4Ωに見えます。

 

さて、本分である減衰させる能力はどうでしょうか?

今度は電力を計算していきましょう。

 

電力とインピーダンスからアンプから出力される電圧を求めます。

電圧 = √W × √R = √30 × √4

電圧 = 10.95[Vrms]

rms=実効値。わからないときは深く考えない。

 

電圧から各抵抗の電流や端電圧を求めると、

R1aの電流 IR1a = 10.95[Vrms] / 5.79Ω = 1.89[A]

 

R2の端電圧 VR2 = 10.95[Vrms] x ( R2 / R2とR1bとzの合成 )

VR2 = 8.95[Vrms]

 

R2の電流 IR2 = 8.95[Vrms] / 10.59Ω

IR2 = 0.84[A]

 

SPK4ΩとR1bの電圧 

Vspk&R1b = 10.95[Vrms] x ( zとR1bの合成 / R2とR1bとzの合成 )

Vspk&R1b = ほぼ2[Vrms]

 

R1bの電流 IR1b = 2[Vrms] / 5.79Ω

IR1b = 0.35[A]

 

スピーカーの電流

Ispk = 2[Vrms] / 4Ω

Ispk = 0.5[A]

 

スピーカーに与えられる電力

電力の求め方は電圧×電流なので、

Pspk = 2[Vrms] x 0.5[A] で…

Pspk = 1W

おお、完璧。

 

というわけでスピーカーに渡される電力が1Wになりました。

ちなみに各抵抗の耐圧も結構必要となりますが、それは今度。次の記事はその辺の事を含めながら実際に作ってみようと思います。

今更ですが、独自研究が含まれております。特に用語。実際に試す際は自己責任でよろしくお願いします。

 

次の記事はこちら

 

culo.hatenablog.com

 

 

今日はこの辺で。

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