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エフェクター自作Project「j-Brownie」製作記 13.5層目 ~残り汁~

 だいぶ春らしくなってきましたね。朝に布団から出るのがだいぶ楽になりました。いつも朝風呂派なのですが、風呂から出ても湯冷めせず、温かいのでグローブも忘れバイクで出勤。バイクに乗って初春の風を受け、会社につく頃にはcuLoの手は悴んでいます。寒い…。

 

 

13層で「完成」と書いておきながら「一応」とも書いておりました。

で、13層の記事を振り返ってみると、

 

いくつかの課題。

1.初回電源投入時ならなかった。

 →どこかショートorオープンしかけてる?

2.初回電源投入後しばらく音量極小(再現性怪しい)

 →1同様ショートorオープン?

3.50Hzと思われるノイズが若干ある。

 →電源の適正化?

4.ピッキングハーモニクスが鳴りが悪い。

 →どこかでローパスフィルタになっている?

5.思ったよりケースに収めるのが難しかった。

 →プリント基板化&アセンブリはもっと簡略化しないとダメ。

 

と書いてますね。これについてここの所、検証を行っていましたが、その顛末のようなものを今週の記事とします。

 

 

で、検証結果はと言うと、

  1. 再現せず検証不可
  2. 再現せず検証不可
  3. ノイズはパソコンから発するものをギターで拾っている可能性大。それ以外の電源ノイズもあるがヘッドフォンではかなり微小。
  4. 解決済み(今回の記事内容です。)
  5. これは今後の課題。出来るだけ簡単に組み込めるよう再度基板からやり直しますが、今作ではやりません。

 

13層の記事はこちらからどうぞ。↓

culo.hatenablog.com

 ④で「ハーモニクスの鳴りが悪い」と書いておりましたが、cuLoには漠然と「GAINが少ないのではないか?」と考えておりました。

 

※本ブログはギタリスト以外の方にも(※1)多く(※2)見て頂いてますので、念のため説明すると、

  • GAIN=入力された信号にどれだけ倍率を掛けるかという事。ツマミの名前にもなってる

※1これは本当。  ※2これはウソ。

 

 というのも、GAINツマミをフルテン(最大にすること)にしても精々オールドオーバードライブ⁺α程度の歪しか得られなかったからです。これはブレッドボード上でのGAINをフルとすると大体1/4~1/3程度(感覚で)といった具合でした。

 そういった理由からまずはブレッドボード上に残していた回路にjFETを再度接続してみることに。もともと制作時にはブレッドボードにて使用していたjFETを基板に使用して、コンデンサや抵抗等のパッシブ部品はそのまま残していましたので、割と短時間での取り付けが可能でした。

 この時のcuLoの考えとしては「ブレッドボード上に組んだ回路の方がはるかにGAINが高かった記憶。ブレッドボード上のHiGAINが再現されたら、基板に組んだ回路のどこかで異常が検知できるはず!。」ブレッドボードに新しくj-FETを取り付けると予想通りHiGAINな増幅度が得られましたのでブレッドボード上では正しく動作しているようです。

 

さて、ここからボード上と基板上での違いをオシロスコープで確認していきます。

 

 

 STEP①:シグナルジェネレータで一定のサイン波を作り、ブレッドボードの回路とストンプボックスそれぞれに同じ信号を入力する。

 まず、入力に以前使っていたアンドロイド携帯で使用できる携帯ファンクションジェネレータ(任意信号発生器)を使用し200mVp-pの440Hz交流信号を生成します。

f:id:cuLo:20180311220620p:plain

参考までに、下記を使っています。無料ですよ!。

play.google.com

 

※すべてのツマミは「フルテン」で測定。

 STEP②:最終出力段の波形をそれぞれ確認する。

f:id:cuLo:20180311220750p:plain

左:ブレッドボード上にて測定 右:制作基板にて測定

 測定結果は上記波形となりました。基板上の波形は丸まっていることが確認できました。これは高音部分が削られて正しいGAINを得られてない事が伺えます。よく見ると紫の線FFTもそんな感じになってるような、なってないような。

 

STEP③:3段目の増幅部Q5ドレイン部を確認する。

f:id:cuLo:20180311221512p:plain

左:ブレッドボード上にて測定 右:制作基板にて測定

 ブレッドボード測定に比べて、基板での測定が著しく低い値になっています。単純に電圧値で比べても-6dB程度は確実に足りませんね。

 

STEP④:増幅2段目のFET部を確認する。

f:id:cuLo:20180311222744p:plain

左:ブレッドボード上にて測定 右:制作基板にて測定

 やはりここでも大きな違いがみられます。この時点で確認できるのは、入力からこの2段目増幅部を含む部分までに原因がありそうだという事です。そこでさらに信号入力部へ近づいてみます。

 

STEP⑤:初段増幅部FETを確認してみる。

f:id:cuLo:20180311222723p:plain

 ここで波形の違いが一気に少なくなりました。多少の振幅の差がありますが、アナログ回路では仕方のない事です。しかも今回はj-FETというバラつきの多いFETを使用していますので…。という事で原因の位置がだいぶ絞り込めました。

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初段増幅部と2段目増幅部間のフィルタ&GAIN調整部が怪しい!。

 

 

f:id:cuLo:20180311224326j:plain

C5とR4の後ろとグランド間の抵抗値を見てみると…

南斗約90kΩ!(なんだこの誤変換!)

 そんなことはあり得ないはずなんですが、ここでは通常測定値がボリューム抵抗の500kΩに見えるはず。

 

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・・・!ボリュームが100kΩになっている!

 

これにて原因判明しました。

本来の500kΩだったら抵抗値だけで考えても半分は伝達されるところが、100kΩがついていることによってGAINが1/5程度に削られていることになっておりました。

 

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それなりにメンテナンスできるように作っておいてよかった。代わりにボリューム側に500kΩを取り付け間違いしておりましたので入れ替えます。写真の丁度真ん中の列にボリューム抵抗の取り付け箇所が計6か所あります。ここのハンダを盛って…

 

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温めながら外していきます。吸取り線でハンダを吸取ってからやる方法もありますが、ハンダが少しでも残ってくっついていると基板へのダメージが深刻ですのでこちらが確実です。ちなみに正規のやり方かどうかは知りません。自己責任で!

 

 

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摘出。

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入れ替えて戻しました。

 

オペ完了。

 

 

 結局原因は組付け時の定数確認ミスでした。見つかってよかった~。

 その後再度組み直して試奏してみたところHiGAIN化して、しっかりとしたハーモニクスが鳴るようになりました。

 

 

じゃ、今日はこの辺で。

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